新潟市潟のデジタル博物館

潟を学ぶ

国内初!ラムサール条約湿地自治体認証

湿地自治体認証制度とは?

ラムサール条約湿地自治体認証制度は、2015年のラムサール条約締約国会議(COP12)で創設された制度で、湿地の保全・再生や環境教育等の全12項目の国際基準を満たす自治体に対し、認証を行うものです。2018年のCOP13で7か国18都市が、2022年のCOP14で、13か国25都市が認証されました。
潟だけではなく、川や田んぼなど新潟市内の湿地で、地域住民などが賢明な利用を進めていることが世界に認められ、COP14において、新潟市は鹿児島県出水市とともに、日本で初めてラムサール条約の湿地自治体認証を受けました。

ラムサール湿地都市ネットワーク

新潟市が申請、認証に至った経緯

新潟市の湿地の変遷

新潟市は、新潟県の北部、越後平野に位置し、信濃川と阿賀野川という二大河川の河口に位置しています。海岸砂丘や一部の山地を除いて、地形はほぼ平坦で、その多くは水田となっており、また各地には湖沼が点在しています。
海面が現在とほぼ同じ高さになった縄文時代、本市の大部分はまだ海中にありましたが、河川が運ぶ土砂により、海岸線が前進します。その過程において、海岸砂丘が順次形成され、その内側は水はけの悪い低湿地となりました。左の図は、今から500年ほど前のものです。湖沼は無数に存在していましたが、江戸時代以降、河川改修や新田開発により次々に干拓され、今から70年近く前である右の図では、ほとんどの湖沼は姿を消しました。
現在では、16か所ほどにまで減った新潟市の湖沼ですが、湿地の多面的価値が見直され、保全に向けた政策の転換や地域ごとの取り組みが行われています。

新潟市「潟環境研究所」の活動

これらの動きを受け、新潟市では、平成26年度から5年間、「潟環境研究所」という機関を設け、次の2つの条件にあてはまる湖沼について調査・研究を行いました。
1:越後平野の湖沼のうち、自然的要因により形成されたもの
2:暮らしや文化、生業など、人との深い関わりによって水辺の物質循環が維持されてきたもの
なお、新潟では、規模や成因にかかわらず、これらの湖沼のことを「潟(かた)」と呼んでいます。
多くの湖沼がこの2つにあてはまる「潟」であり、これらが市内に広く分布するため、研究所では、市全体として「ラムサール条約都市 ~自然と共生する都市~」を目指すことが提言されました。そして、これらの活動および提言が、「ラムサール条約湿地自治体認証」の趣旨や基準に合致するものであったため、今回の新潟市の申請・認証に至りました。

(参考)ラムサール条約湿地自治体認証国際基準一覧
野生生物と人との共生の場である新潟市の湿地

新潟市の特徴は、16の潟のほか、大小の河川、水田等、湿地の面積が市の44%と大きな割合を占めていることが挙げられます。
これは、水田などの湿地が、学校田として環境教育が行われたり、湿地に生息する鳥の生活空間にもなったり、野生生物と人の共生の場が広範囲にわたることを表しています。
ハクチョウを例にすると、市民ハクチョウ調査での報告地点をみると、昼間は市内の田園に広く分布していることが分かります。

図 市民ハクチョウ調査での報告地点
(平成27年度市民ハクチョウ調査報告書)
学校田としての活用

認証式のようす

2022年11月10日、スイスのジュネーブで行われたCOP14で、ラムサール条約の事務局長であるムソンダ・ムンバ博士から証書の授与を受けました。
認証式後に行われたサイドイベントでは、市長のスピーチと動画などにより、ラムサール条約湿地「佐潟」をはじめとする市内の潟や水田を紹介し、新潟市を世界へPRしました。

認証証書
認証式のようす
認証式で流した新潟市のPR動画