新潟市潟環境研究所が定義する「潟(かた)」
当研究所では、下記「用語解説」中の「潟」に限らず、次のものを「潟」と定義し、調査・研究の対象とします。
1 越後平野の湖沼のうち自然的要因により形成されたもの、および自然的要因により形成されたのち人工的改変を受けたもの。
2 「1」のほか、人工的に形成された湖沼のうち、暮らしや文化、生業など、人との深い関わりによって水辺の物質循環が維持されてきたもの。
考え方
古くから越後平野の湖沼は、規模や成因、個々の名称にかかわらず、総称して「潟」と呼ばれてきました。また、地域特有の風土や文化、歴史など、人との関わりにおいて「潟」が中心的な役割を果たしてきました。これらのことを重視し、上記のように定義したものです。
用語解説
【潟】(『新版 地学事典』(1996)地学団体研究会 (編) 平凡社)
1)海に近接または連続した水塊が、砂州などの低くて狭長な土地によって海と部分的または全体的に隔てられたもの。潟湖とも。海跡湖とほぼ同義。低緯度で潮差の小さい所に多いとされる。(中略)沖の礁性サンゴと本島の間の水域を指すこともある。一般に海岸線と並行で、しばしば停滞的な環境を示す。2)大きな湖もしくは河川の近く、またはそれに連続した浅い淡水の池や湖。3)環礁のなかの閉鎖的な浅い水塊。4)その他、海水が流れ込む入り江・沼沢地・湖・干潟などに広く用いられる。(茂木昭夫・井内美郎)
【ラグーン】(『地形学辞典』(1981) 町田貞ほか(編) 二宮書店)
浅海の一部が、砂嘴や砂州または沿岸州によって外海と絶縁され、浅い湖沼となったもので、潟(かた)または潟湖(せきこ)ともいう。一般に1カ所または数カ所の狭い潮口によって外海と通じ、ここから海水が出入りする。海水の流入に伴い海底の土砂も移動し、潮口付近にデルタ状の潮汐三角州ができる。一方、湖内は波の活動が弱く、陸上から流入する淡水によって運ばれた浮遊土砂が堆積する。このようにしてできた浅瀬には、塩水や汽水のみの特殊な植物が生育し、これらがさらに多くの土砂を堆積するようになる。(以下略)(中山正民)
【潟湖(せきこ)】(『陸水の事典』(2006)日本陸水学会(編) 講談社)
たんに潟ともいう。海岸に近いところでは砂丘が河口をせき止めて、しばしば海岸に平行した湖をつくる(石川県河北潟)、また入江の出口や遠浅の海岸の沖に、河口から出た砂が沿岸流によって運ばれてきて砂州ができ、海から分離されて湖ができる。(中略)一般に水深は浅い。